- 法人・業務用タブレットTOP
- > 無理なく始める自治体DX ─タブレット端末でできる業務改善の第一歩
無理なく始める自治体DX ─タブレット端末でできる業務改善の第一歩

自治体業務の効率化と住民サービスの質的向上が求められる中、「自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)」への関心が全国的に高まっています。
限られた人員や予算のもとでDXを推進するには、現場の業務に即した実効性の高い取り組みが鍵を握ります。中でも注目されているのが、NFCリーダー/ライター搭載タブレットの活用です。
本記事では、総務省の方針や自治体DXを取り巻く背景に触れながら、高槻市・広島市などでの導入事例を紹介し、現場業務に直結するタブレット活用の実態をひも解きます。
また、業務用タブレット専業メーカーであるオーディーエス株式会社が提供する、端末と支援体制を組み合わせた自治体向けの取り組みにも注目します。
これらの最新事例は、「自治体・公共 Week 2025」内の「自治体DX展」にて展示されました。
国が主導する形で方針が示され、自治体ごとの対応も本格化しつつありますが、その背景には人口減少社会における自治体機能の持続性への危機感があります。
ここでは、自治体DXの定義と必要性について、国の指針をもとに整理します。
総務省が示す自治体DXの概要
自治体DXとは、デジタル技術を活用して住民サービスの向上と行政運営の効率化を両立させる取り組みを指します。
総務省が2020年に発表した「自治体DX推進計画」では、すべての地方公共団体に対し、次のような重点取組事項を提示しています。
● 自治体内部の業務改革(バックオフィス業務の見直しとデジタル化)
● 住民向けサービスのオンライン化(窓口業務の利便性向上)
● 情報システムの標準化・共通化(自治体間での連携と効率化)
これにより、ICTの導入が単なる業務支援にとどまらず、地域行政全体の構造改革につながることが期待されています。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画 【第 4.0 版】」
「2040年問題」と地域行政の危機
自治体DXが急務とされる背景には、2040年を見据えた社会変化への危機意識があります。
少子高齢化が進む中、2040年には自治体職員の数が現在よりも大幅に減少するとされており、行政サービスの提供体制そのものが維持困難になると予測されています。
こうした「2040年問題」は、地方自治体の根幹を揺るがす課題であり、従来型の人海戦術では対応しきれなくなることが明らかです。
そのため、業務プロセスの見直しとデジタル化による生産性向上が、自治体存続のカギとなります。
出典:総務省「自治体戦略2040構想研究会 第一次報告」
求められる業務変革と住民対応の両立
自治体DXの目的は、単なる業務のデジタル化ではなく、住民サービスの維持・向上と業務の効率化の両立にあります。
例えば、住民が窓口に来ることなく手続きできるオンライン申請や、マイナンバーカードを用いた本人確認の自動化など、住民との接点にも変革が求められています。
併せて、自治体内部ではRPAやAIを活用した定型業務の自動化、業務データの可視化といった取り組みが進められつつあります。
これにより、限られた人員でも安定した行政サービスの提供を可能にし、住民満足度の向上と組織の持続可能性の両立が期待されます。
以上のように、自治体DXは単なる“選択肢の一つ”ではありません。
将来にわたって住民に必要なサービスを届け続けるための「前提条件」として、全国の自治体に共通する課題となっているのです。
自治体DXの必要性が高まる一方で、実際の現場では多くの困難が立ちはだかっています。
人材不足や老朽化したシステムの存在、さらには職員の意識面のギャップなど、技術面だけでなく組織的な課題が複合的に絡み合っています。
ここでは、DX推進を阻む主な障壁と、それらをどう乗り越えるべきかについて整理します。
人手・スキル不足が推進を阻む
自治体におけるDX推進の現場では、「人手不足」と「ICTスキルを持つ人材の不足」が深刻な課題となっています。
総務省の「自治体DX推進計画」でも、限られた人員体制の中で業務を回しながらDXを並行して進める難しさが指摘されています。
特に中小規模の自治体では、情報システム担当職員が数名に限られるケースも多く、外部からの支援を受けずに全体最適な改革を実現するのは困難です。
このような状況下では、外部ベンダーや支援企業との連携を活用しながら、段階的・戦略的にDXを進めていくことが現実的なアプローチとされています。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画 【第 4.0 版】」
ブラックボックス化したシステムの壁
もう一つの大きな障壁が、「レガシーシステムのブラックボックス化」です。
多くの自治体では、長年にわたりカスタマイズを重ねたシステムが使われており、どこをどう改修すればいいのかを把握している人がすでに退職している、というような状況も見られます。
これにより、新たな技術の導入や他システムとの連携が難しくなり、業務改革の足かせになっているのです。
総務省はこの問題に対応するため、「自治体情報システムの標準化・共通化」を掲げ、2025年度末までに全市区町村が基幹業務システムを標準化する方針を示しています。
これにより、保守性の向上やコスト削減、ベンダーロックインの解消が期待されます。
出典:総務省「自治体情報システムの標準化・共通化」
職員の意識改革がDX成功の鍵
技術的・制度的な対応が進んでも、最終的な成功の可否を分けるのは「人」―― つまり、職員の意識です。
DXは単なるシステム導入ではなく、働き方や業務の進め方そのものを見直す取り組みであり、それに対する現場職員の理解と納得が不可欠です。
総務省は、「職員一人ひとりが自らの業務を変革する意識を持つこと」をDX成功の前提条件としており、そのためには庁内での対話や研修、トップ層からの強いメッセージ発信が必要とされています。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画 【第 4.0 版】」
以上のように、自治体DXには「人材」「技術」「意識」という三重の課題が存在します。
これらを一気に解決することは現実的ではないため、まずは業務の一部からスモールスタートで導入を進め、成果を積み上げながら段階的に広げていく方法が有効です。
また、官民連携を通じて民間企業のノウハウや支援を活用することは、自治体単独では難しい改革を実現するための有力な選択肢です。
DXは自治体の内部改革であると同時に、社会全体の変革への対応でもあるのです。
自治体DXのメリット
自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、単なるIT化ではなく、限られた人員体制と財政状況の中で、住民サービスの質と行政の持続可能性をいかに両立するか、という根本的な課題への取り組みです。
これに対して、すべての業務を一気に刷新するのではなく、段階的かつ実務に即した施策として注目されているのが、タブレット端末を活用したソリューションの導入です。
業務用タブレットは、窓口業務や申請対応など、自治体の日常的な接点に近い業務から着手できるため、即効性と導入のしやすさが大きな特長です。
ここでは、そうしたタブレット端末の活用がもたらす主なメリットを、「業務効率化」「住民満足度向上」「自治体の信頼性強化」の3つの観点から整理していきます。
タブレット端末の導入は、自治体職員が日々行っている業務の効率を大きく高める手段となります。
例えば、本人確認や申請受付といった窓口対応において、これまで紙による確認や記録、目視による照合などが必要だった作業が、タブレットと専用アプリケーションの組み合わせにより、スムーズに処理できるようになります。
特に、NFCリーダーを搭載したタブレットでは、外付け機器を用意することなくマイナンバーカードや各種ICカードの読み取りが可能となり、物理的な作業の負担が軽減されます。
さらに、タブレットの導入はアクセシビリティの向上にも寄与します。
大きな文字や音声案内、タッチ操作の分かりやすいインターフェースなどを活用すれば、高齢者や外国人住民、障がいを持つ方にも配慮した“誰にでもやさしい行政窓口”の実現が可能になります。
こうした使いやすさは、単に利便性を高めるだけでなく、住民の安心感と満足感を醸成し、結果として行政全体への信頼向上にも結びついていきます。
住民にとって、行政窓口はしばしば「時間がかかる」「手続きが煩雑」という負のイメージを持たれがちですが、タブレット端末の導入はこれを大きく改善する可能性を秘めています。
例えば、受付時にマイナンバーカードをNFCリーダー搭載タブレットにかざすだけで本人確認が完了すれば、手続きが迅速化され、長時間の待ち時間や記入用紙の手間が軽減されます。
また、画面に表示される内容をその場で確認・操作できることで、住民が自分の情報を正確に把握しながら手続きを進めることができ、手戻りや説明不足による混乱を減らすことにもつながります。
自治体の信頼性・透明性の向上
タブレット端末を活用した業務プロセスのデジタル化は、自治体の説明責任や業務の可視化にも効果を発揮します。
例えば、住民の申請内容や受付履歴が端末上に自動記録されることで、「誰が・いつ・どのような処理を行ったか」を後から正確に追跡することができます。
これは、住民からの問い合わせに対する迅速な対応や、内部監査への備え、さらには情報公開の基盤整備としても有効です。
すべての処理が記録・保存されることによって、自治体の業務がブラックボックス化せず、透明性の高い運営が可能になります。
加えて、タブレット端末は可搬性が高く、災害時の避難所や臨時窓口、移動行政サービスなどにも柔軟に対応できます。
こうした緊急時の機動性は、住民に対して「非常時にも機能する自治体」という印象を与え、信頼の確保・向上に寄与する要素となります。
このように、タブレット端末の導入は、単なる作業の効率化にとどまらず、住民との接点の質を高め、自治体としての信頼性や対応力を底上げする多面的なメリットをもたらします。
なお、こうした効果を最大限に引き出すためには、タブレット端末だけでなく、専用アプリケーションや業務システムとの連携、セキュリティ対策など、全体としての仕組みづくりが不可欠です。
自治体DXのために導入しやすいタブレット端末と活用事例
自治体DXを推進する上で、最初の一歩として導入しやすく、かつ現場の業務に直結する効果が得られるツールが「業務用タブレット端末」です。
特にマイナンバーカードの活用が求められる本人確認業務や、窓口での受付処理といった日常的な行政業務においては、タブレットと専用アプリケーションの組み合わせにより、
業務の迅速化と標準化を実現できる可能性があります。
ここでは、実際にタブレット端末を導入し、DXの成果を挙げた自治体の事例を紹介します。
展示会での実演展示:「自治体・公共 Week 2025」
2025年7月に東京ビッグサイトで開催された「自治体・公共 Week 2025(第5回 自治体DX展)」では、タブレット端末を用いた実用的な仕組みの実演展示が行われました。
この展示では、マイナンバーカードに対応したNFCリーダー/ライター搭載タブレットと、株式会社ショーケースが提供するeKYCツール「ProTech ID Checker」が組み合わされ、
本人確認業務を効率化する最新の仕組みが紹介されるなど、自治体のDXをさらに推進するタブレット端末活用事例が紹介されました。
来場者は、専用リーダー不要で本人確認が完了するデモンストレーションを体験し、住民対応業務における現場負担の軽減やセキュリティ面での信頼性の高さを実感できたとの声が寄せられました。
参考: ショーケース: 「ショーケース、オーディーエス社と連携し「自治体・公共 Week 2025」に出展、eKYC×タブレットによる本人確認ソリューションを実演展示」
オーディーエス: 「業務用タブレットのオーディーエス、自治体DXを支援 NFCリーダー搭載タブレットを活用したソリューションを提案」
広島市:区役所での窓口業務DXの実現
広島市では、区役所にてタブレット端末を活用した受付業務の効率化に取り組んでいます。
各区役所では、NFCリーダー/ライターを搭載したタブレットが採用されており、これは窓口において、市民が自身のマイナ保険証等の情報を閲覧できる環境を整える必要があったことがきっかけとなりました。
NFCを搭載したタブレットは、外付けのICカードリーダー等を別途用意する必要がなく、10インチというサイズも含めて、持ち運びの容易さが評価されています。
参考:「導入事例 広島市役所 様 | 業務用タブレット・オーディオ・デジタルサイネージ通販-ODS Direct(オーディーエス株式会社)」
高槻市:障がい福祉課でのマイナンバーカード読み取り対応
大阪府高槻市においても、障がい福祉課の窓口業務にマイナンバーカード対応のNFCリーダー/ライター搭載タブレットを導入しました。
これにより、来庁者のマイナ保険証の情報確認をスムーズに行うことができ、職員の確認作業の負担が軽減されました。
タブレット単体でマイナンバーカードの読み取りに対応できることに加え、電子車検証の閲覧や、令和7年3月24日から運用が開始されたマイナ免許証の読み取りにも対応していることから、
今後さらなる活用の広がりが期待されています。
参考:「導入事例 高槻市役所(障がい福祉課) 様 | 業務用タブレット・オーディオ・デジタルサイネージ通販-ODS Direct(オーディーエス株式会社)」
これらの事例からも分かるように、タブレット端末は自治体にとって「導入しやすく、効果が実感しやすいDXツール」として機能しています。
今後は本人確認業務だけでなく、地域見守り、防災対応、子育て支援など、さまざまな行政分野での応用も期待されており、住民の利便性向上と行政の持続可能性確保の両立を支える手段として注目が高まっています。
まとめ
自治体にとってDXは、住民サービスの質を高め、持続可能な行政運営を実現するために欠かせない取り組みです。
ただし、限られた人員や予算の中で、いきなり大規模な改革に踏み出すのは難しいのが現実です。
そんな中、タブレット端末のように、現場で使いやすく、すぐに効果を実感できるツールから始めることで、DXを無理なく進めていくことができます。
本人確認や窓口対応など、日々の業務に直結する部分から少しずつ改善を重ねていけば、職員の負担を軽減し、住民の利便性も確実に高まっていきます。
なお、タブレット端末の導入はあくまでDXの一要素であり、業務アプリケーションやシステム連携、運用体制の整備といった複合的な取り組みが重要です。
製品の導入だけでなく、日々の運用を支えるサポート体制や、民間企業との連携も整ってきています。
まずは「できるところから」DXを始めてみる―― それが、自治体の未来をよりよくするための大切な第一歩になるはずです。
限られた人員や予算のもとでDXを推進するには、現場の業務に即した実効性の高い取り組みが鍵を握ります。中でも注目されているのが、NFCリーダー/ライター搭載タブレットの活用です。
本記事では、総務省の方針や自治体DXを取り巻く背景に触れながら、高槻市・広島市などでの導入事例を紹介し、現場業務に直結するタブレット活用の実態をひも解きます。
また、業務用タブレット専業メーカーであるオーディーエス株式会社が提供する、端末と支援体制を組み合わせた自治体向けの取り組みにも注目します。
これらの最新事例は、「自治体・公共 Week 2025」内の「自治体DX展」にて展示されました。
目次
- 自治体DXとは何か? なぜ必要なのか
- 総務省が示す自治体DXの概要
- 「2040年問題」と地域行政の危機
- 求められる業務変革と住民対応の両立
- DX推進に立ちはだかる課題とその乗り越え方
- 人手・スキル不足が推進を阻む
- ブラックボックス化したシステムの壁
- 職員の意識改革がDX成功の鍵
- 課題を乗り越えるために求められるアプローチ
- 自治体DXのメリット
- 業務効率化・人的リソースの最適化
- 住民満足度・利便性の向上
- 自治体の信頼性・透明性の向上
- 自治体DXのために導入しやすいタブレット端末と活用事例
- 展示会での実演展示:「自治体・公共 Week 2025」
- 広島市:区役所での窓口業務DXの実現
- 高槻市:障がい福祉課でのマイナンバーカード読み取り対応
- まとめ
自治体DXとは何か? なぜ必要なのか
デジタル技術を活用して行政サービスや業務の質を高める「自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)」は、今や全自治体にとって避けて通れない課題となっています。国が主導する形で方針が示され、自治体ごとの対応も本格化しつつありますが、その背景には人口減少社会における自治体機能の持続性への危機感があります。
ここでは、自治体DXの定義と必要性について、国の指針をもとに整理します。
総務省が示す自治体DXの概要
自治体DXとは、デジタル技術を活用して住民サービスの向上と行政運営の効率化を両立させる取り組みを指します。
総務省が2020年に発表した「自治体DX推進計画」では、すべての地方公共団体に対し、次のような重点取組事項を提示しています。
● 自治体内部の業務改革(バックオフィス業務の見直しとデジタル化)
● 住民向けサービスのオンライン化(窓口業務の利便性向上)
● 情報システムの標準化・共通化(自治体間での連携と効率化)
これにより、ICTの導入が単なる業務支援にとどまらず、地域行政全体の構造改革につながることが期待されています。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画 【第 4.0 版】」
「2040年問題」と地域行政の危機
自治体DXが急務とされる背景には、2040年を見据えた社会変化への危機意識があります。
少子高齢化が進む中、2040年には自治体職員の数が現在よりも大幅に減少するとされており、行政サービスの提供体制そのものが維持困難になると予測されています。
こうした「2040年問題」は、地方自治体の根幹を揺るがす課題であり、従来型の人海戦術では対応しきれなくなることが明らかです。
そのため、業務プロセスの見直しとデジタル化による生産性向上が、自治体存続のカギとなります。
出典:総務省「自治体戦略2040構想研究会 第一次報告」
求められる業務変革と住民対応の両立
自治体DXの目的は、単なる業務のデジタル化ではなく、住民サービスの維持・向上と業務の効率化の両立にあります。
例えば、住民が窓口に来ることなく手続きできるオンライン申請や、マイナンバーカードを用いた本人確認の自動化など、住民との接点にも変革が求められています。
併せて、自治体内部ではRPAやAIを活用した定型業務の自動化、業務データの可視化といった取り組みが進められつつあります。
これにより、限られた人員でも安定した行政サービスの提供を可能にし、住民満足度の向上と組織の持続可能性の両立が期待されます。
以上のように、自治体DXは単なる“選択肢の一つ”ではありません。
将来にわたって住民に必要なサービスを届け続けるための「前提条件」として、全国の自治体に共通する課題となっているのです。
DX推進に立ちはだかる課題とその乗り越え方
自治体DXの必要性が高まる一方で、実際の現場では多くの困難が立ちはだかっています。
人材不足や老朽化したシステムの存在、さらには職員の意識面のギャップなど、技術面だけでなく組織的な課題が複合的に絡み合っています。
ここでは、DX推進を阻む主な障壁と、それらをどう乗り越えるべきかについて整理します。
人手・スキル不足が推進を阻む
自治体におけるDX推進の現場では、「人手不足」と「ICTスキルを持つ人材の不足」が深刻な課題となっています。
総務省の「自治体DX推進計画」でも、限られた人員体制の中で業務を回しながらDXを並行して進める難しさが指摘されています。
特に中小規模の自治体では、情報システム担当職員が数名に限られるケースも多く、外部からの支援を受けずに全体最適な改革を実現するのは困難です。
このような状況下では、外部ベンダーや支援企業との連携を活用しながら、段階的・戦略的にDXを進めていくことが現実的なアプローチとされています。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画 【第 4.0 版】」
ブラックボックス化したシステムの壁
もう一つの大きな障壁が、「レガシーシステムのブラックボックス化」です。
多くの自治体では、長年にわたりカスタマイズを重ねたシステムが使われており、どこをどう改修すればいいのかを把握している人がすでに退職している、というような状況も見られます。
これにより、新たな技術の導入や他システムとの連携が難しくなり、業務改革の足かせになっているのです。
総務省はこの問題に対応するため、「自治体情報システムの標準化・共通化」を掲げ、2025年度末までに全市区町村が基幹業務システムを標準化する方針を示しています。
これにより、保守性の向上やコスト削減、ベンダーロックインの解消が期待されます。
出典:総務省「自治体情報システムの標準化・共通化」
職員の意識改革がDX成功の鍵
技術的・制度的な対応が進んでも、最終的な成功の可否を分けるのは「人」―― つまり、職員の意識です。
DXは単なるシステム導入ではなく、働き方や業務の進め方そのものを見直す取り組みであり、それに対する現場職員の理解と納得が不可欠です。
総務省は、「職員一人ひとりが自らの業務を変革する意識を持つこと」をDX成功の前提条件としており、そのためには庁内での対話や研修、トップ層からの強いメッセージ発信が必要とされています。
出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画 【第 4.0 版】」
課題を乗り越えるために求められるアプローチ
以上のように、自治体DXには「人材」「技術」「意識」という三重の課題が存在します。
これらを一気に解決することは現実的ではないため、まずは業務の一部からスモールスタートで導入を進め、成果を積み上げながら段階的に広げていく方法が有効です。
また、官民連携を通じて民間企業のノウハウや支援を活用することは、自治体単独では難しい改革を実現するための有力な選択肢です。
DXは自治体の内部改革であると同時に、社会全体の変革への対応でもあるのです。
自治体DXのメリット
自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、単なるIT化ではなく、限られた人員体制と財政状況の中で、住民サービスの質と行政の持続可能性をいかに両立するか、という根本的な課題への取り組みです。
これに対して、すべての業務を一気に刷新するのではなく、段階的かつ実務に即した施策として注目されているのが、タブレット端末を活用したソリューションの導入です。
業務用タブレットは、窓口業務や申請対応など、自治体の日常的な接点に近い業務から着手できるため、即効性と導入のしやすさが大きな特長です。
ここでは、そうしたタブレット端末の活用がもたらす主なメリットを、「業務効率化」「住民満足度向上」「自治体の信頼性強化」の3つの観点から整理していきます。
業務効率化・人的リソースの最適化
タブレット端末の導入は、自治体職員が日々行っている業務の効率を大きく高める手段となります。
例えば、本人確認や申請受付といった窓口対応において、これまで紙による確認や記録、目視による照合などが必要だった作業が、タブレットと専用アプリケーションの組み合わせにより、スムーズに処理できるようになります。
特に、NFCリーダーを搭載したタブレットでは、外付け機器を用意することなくマイナンバーカードや各種ICカードの読み取りが可能となり、物理的な作業の負担が軽減されます。
さらに、タブレットの導入はアクセシビリティの向上にも寄与します。
大きな文字や音声案内、タッチ操作の分かりやすいインターフェースなどを活用すれば、高齢者や外国人住民、障がいを持つ方にも配慮した“誰にでもやさしい行政窓口”の実現が可能になります。
こうした使いやすさは、単に利便性を高めるだけでなく、住民の安心感と満足感を醸成し、結果として行政全体への信頼向上にも結びついていきます。
住民満足度・利便性の向上
住民にとって、行政窓口はしばしば「時間がかかる」「手続きが煩雑」という負のイメージを持たれがちですが、タブレット端末の導入はこれを大きく改善する可能性を秘めています。
例えば、受付時にマイナンバーカードをNFCリーダー搭載タブレットにかざすだけで本人確認が完了すれば、手続きが迅速化され、長時間の待ち時間や記入用紙の手間が軽減されます。
また、画面に表示される内容をその場で確認・操作できることで、住民が自分の情報を正確に把握しながら手続きを進めることができ、手戻りや説明不足による混乱を減らすことにもつながります。
自治体の信頼性・透明性の向上
タブレット端末を活用した業務プロセスのデジタル化は、自治体の説明責任や業務の可視化にも効果を発揮します。
例えば、住民の申請内容や受付履歴が端末上に自動記録されることで、「誰が・いつ・どのような処理を行ったか」を後から正確に追跡することができます。
これは、住民からの問い合わせに対する迅速な対応や、内部監査への備え、さらには情報公開の基盤整備としても有効です。
すべての処理が記録・保存されることによって、自治体の業務がブラックボックス化せず、透明性の高い運営が可能になります。
加えて、タブレット端末は可搬性が高く、災害時の避難所や臨時窓口、移動行政サービスなどにも柔軟に対応できます。
こうした緊急時の機動性は、住民に対して「非常時にも機能する自治体」という印象を与え、信頼の確保・向上に寄与する要素となります。
このように、タブレット端末の導入は、単なる作業の効率化にとどまらず、住民との接点の質を高め、自治体としての信頼性や対応力を底上げする多面的なメリットをもたらします。
なお、こうした効果を最大限に引き出すためには、タブレット端末だけでなく、専用アプリケーションや業務システムとの連携、セキュリティ対策など、全体としての仕組みづくりが不可欠です。
自治体DXのために導入しやすいタブレット端末と活用事例
自治体DXを推進する上で、最初の一歩として導入しやすく、かつ現場の業務に直結する効果が得られるツールが「業務用タブレット端末」です。
特にマイナンバーカードの活用が求められる本人確認業務や、窓口での受付処理といった日常的な行政業務においては、タブレットと専用アプリケーションの組み合わせにより、
業務の迅速化と標準化を実現できる可能性があります。
ここでは、実際にタブレット端末を導入し、DXの成果を挙げた自治体の事例を紹介します。
展示会での実演展示:「自治体・公共 Week 2025」
2025年7月に東京ビッグサイトで開催された「自治体・公共 Week 2025(第5回 自治体DX展)」では、タブレット端末を用いた実用的な仕組みの実演展示が行われました。
この展示では、マイナンバーカードに対応したNFCリーダー/ライター搭載タブレットと、株式会社ショーケースが提供するeKYCツール「ProTech ID Checker」が組み合わされ、
本人確認業務を効率化する最新の仕組みが紹介されるなど、自治体のDXをさらに推進するタブレット端末活用事例が紹介されました。
来場者は、専用リーダー不要で本人確認が完了するデモンストレーションを体験し、住民対応業務における現場負担の軽減やセキュリティ面での信頼性の高さを実感できたとの声が寄せられました。
参考: ショーケース: 「ショーケース、オーディーエス社と連携し「自治体・公共 Week 2025」に出展、eKYC×タブレットによる本人確認ソリューションを実演展示」
オーディーエス: 「業務用タブレットのオーディーエス、自治体DXを支援 NFCリーダー搭載タブレットを活用したソリューションを提案」
広島市:区役所での窓口業務DXの実現
広島市では、区役所にてタブレット端末を活用した受付業務の効率化に取り組んでいます。
各区役所では、NFCリーダー/ライターを搭載したタブレットが採用されており、これは窓口において、市民が自身のマイナ保険証等の情報を閲覧できる環境を整える必要があったことがきっかけとなりました。
NFCを搭載したタブレットは、外付けのICカードリーダー等を別途用意する必要がなく、10インチというサイズも含めて、持ち運びの容易さが評価されています。
参考:「導入事例 広島市役所 様 | 業務用タブレット・オーディオ・デジタルサイネージ通販-ODS Direct(オーディーエス株式会社)」
高槻市:障がい福祉課でのマイナンバーカード読み取り対応
大阪府高槻市においても、障がい福祉課の窓口業務にマイナンバーカード対応のNFCリーダー/ライター搭載タブレットを導入しました。
これにより、来庁者のマイナ保険証の情報確認をスムーズに行うことができ、職員の確認作業の負担が軽減されました。
タブレット単体でマイナンバーカードの読み取りに対応できることに加え、電子車検証の閲覧や、令和7年3月24日から運用が開始されたマイナ免許証の読み取りにも対応していることから、
今後さらなる活用の広がりが期待されています。
参考:「導入事例 高槻市役所(障がい福祉課) 様 | 業務用タブレット・オーディオ・デジタルサイネージ通販-ODS Direct(オーディーエス株式会社)」
これらの事例からも分かるように、タブレット端末は自治体にとって「導入しやすく、効果が実感しやすいDXツール」として機能しています。
今後は本人確認業務だけでなく、地域見守り、防災対応、子育て支援など、さまざまな行政分野での応用も期待されており、住民の利便性向上と行政の持続可能性確保の両立を支える手段として注目が高まっています。
まとめ
自治体にとってDXは、住民サービスの質を高め、持続可能な行政運営を実現するために欠かせない取り組みです。
ただし、限られた人員や予算の中で、いきなり大規模な改革に踏み出すのは難しいのが現実です。
そんな中、タブレット端末のように、現場で使いやすく、すぐに効果を実感できるツールから始めることで、DXを無理なく進めていくことができます。
本人確認や窓口対応など、日々の業務に直結する部分から少しずつ改善を重ねていけば、職員の負担を軽減し、住民の利便性も確実に高まっていきます。
なお、タブレット端末の導入はあくまでDXの一要素であり、業務アプリケーションやシステム連携、運用体制の整備といった複合的な取り組みが重要です。
製品の導入だけでなく、日々の運用を支えるサポート体制や、民間企業との連携も整ってきています。
まずは「できるところから」DXを始めてみる―― それが、自治体の未来をよりよくするための大切な第一歩になるはずです。
またはTEL.050-3381-5115(平日9:30~17:00)


